きっかけの話
白山市に帰ってきて数年。
田舎で生まれ育ち、進学を機に都会で生活してきた私たちは、子育てをし、働きながら、田舎暮らしの良さを改めて実感していました。
休日に渓流釣りやデイキャンプを楽しみながら、大自然の中でのびのびと遊ぶわが子を見ていると、心が和みます。
スマホを使えば欲しい物は買えるし、新しい情報も得られる。金沢の素敵なお店にも車で1時間で行ける。ずっと都会にいなくてもいいんだな、ということを感じていました。
でも、ふと頭を過ぎるのが、過疎の問題。
子どもが少ない。私たちと同じ世代も少ない。
こんなに良いところなのに…。
やんちゃ盛りのわが子が大きくなった時に、この地域を誇りに思えるだろうか?
ここで育って良かったと思えるように、子どもの為に何かしたい。そんな気持ちが強くなっていきました。
豊かな自然を活かして、何か出来ないだろうか?
例えば〇〇の使わなくなった施設を別のことに使えないだろうか?
…でも、どうやって?
気持ちはあってもノウハウはなく、思い切って瀬波のキャンプ場を経営している方に相談しました。
そして色々と話していく中で、瀬波にこんな空き家がある、そこで何かしてみないか?とお話をいただいたのでした。
紹介していただいた物件は、戦前に建てられて築80年以上という、昔ながらの古民家です。
数年前までおばあちゃんが住んでいたということで、1階の水回りや居住スペースはリフォームされていて綺麗でしたが、雨漏りから傷んでいるところもあり、使うとなると修繕が必要な箇所はたくさんありました。
けれども私たちは、ここで何かをしたいという思いを強く持つこととなったのです。
それは2階に上がって、天井の梁を見たときでした。
とても立派な梁でした。
正直に言えば、2階は埃だらけでした。壁土は大きく剥がれ落ちているところもありました。
でも、その2階の梁や柱を見てすぐに、私の夫は、ここでこんなお店をするというイメージが湧いたそうです。
不安もありましたが、古いものが好きな私たちは、その古民家を使わせてもらうことに決めたのです。
今にして思えば、そうした立派な梁や柱は豪雪地帯ならではのものであるし、その建物を大事にしていくことは、この地域のために何かをしたいという私たちの思いと合致するものだったと思います。
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